ルポ 川崎

例えば「川崎市に将来性がある(あるいは「ない」)」というように、イマドキは自治体ひとつを一面的に語れる時代ではありません。でもまぁ、川崎市はデータ的にはとても成績がいい。全国的にみても、かなり優秀な方です。しかし、そうしたことを皮膚感覚で確認してみようと歩いてみると「あれ?」と首を傾げたくなる感じがする。東芝問題があってから南武線沿線にも微妙な影がさすようになり、百合ヶ丘あたりだって早くも高齢化に空洞化の気配。武蔵小杉もどうみても今がピークです。現状だって、住居ばかりが先行して生活消費は思ったほどではなく、小売な儲けは東京に吸い上げられていく状況にある(ごくごくフツウの地方都市な様相ですね)。

試しにプロボノ的にお役人とも付き合ってみましたが、さしたる実力を感じることもなく、無責任なお役所仕事がスタンダードな感じ…

彼らが川崎のイメージを変えていったわけではなさそうです。

データは「書き方」でもありますからね。眉唾だったかな…そんなふうに思い始めていたら、こんな本に出会いました。磯部涼さんの「ルポ 川崎」(サイゾー 刊)。あの月刊サイゾーに連載されていた記事が大幅に加筆されて一冊になった本です。
磯部さんは音楽ライター。そうしたことから地元のラッパーやミュージシャンたちにインタビューし、ヤクザ、ドラッグ、売春、人種差別までドキュメントし、シンユリやムサコが川崎のイメージを塗り替える前の川崎が、以前よりさらにディープになって、そこに横たわっていることを浮き彫りにしていきます。社会学者であるよりルポライターであるからこその仕事っぷりです。

磯部さんは、今の川崎が「日本の未来」を象徴しているのではないかとおっしゃっています。

川崎駅に直結したピカピカのショッピングモールを出てみれば、そこはどこもが「くたびれた街」。高齢化は風俗産業にも及び、ドヤ街の安宿には住居を持たない独居老人。
川崎の臨海部には旧くから移民問題もあるし、出口のない貧困の問題もある…近年の川崎はキレイな包装紙に包まれきたけれど、かねてよりの問題は重症化しつつ放っておかれたのかもしれない。

そして、近く手に負えなくなる…

シンユリやムサコはどうなっているのか。ある種の人々にとって格好のターゲットになっている可能性もある…

その前触れとしての

「中一殺害事件」「ヘイトデモ」「簡易宿泊所の大規模火災」

そして 日本中の都市が「川崎」になっていくかもしれないということ。

取り締まりを強化し、規律を正しても無意味であることを噛み締めながら、まず、この本を、今、読んでみるべきなのでしょう。

       磯部涼 著 「ルポ 川崎」(サイゾー刊)

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中