棄 民

好んでマニュアル・レーバーを選択する人もいます。そして、ネット・ショッピングや「まとめサイト」的なものを閲覧するともなしに時間を潰し、どこか空虚な気分を抱えながらアマゾンのプライムビデオを観て、ときどきは誰かと居酒屋チェーンでフェイクなお酒を飲む…

つまり、マニュアル・レーバーか、与えられたエンターテイメントの中に生きている。もちろん量産な既製品ですから、満足感も「ほどほど」です。でも、誰かからカードが与えられなければ「無」。自ら仕事を創り出すこともできないし、余暇時間を創造することもできない。「自分でつくりだす」ではなく「既製品の選択」が全てなのです。

でも、今、この国に生きている人々のマジョリティは、こんなふうに生きているのだと思います。

好意的な見方をすれば「何事にもこだわらない」ともいえるし、質的な評価に踏み込めないともいる。別の見方をすれば、その辺に転がっているもので済ませる「面倒臭がり」ともいえるでしょう。でも、大量生産・大量消費の時代にはもってこいの就業者であり消費者の像だといえる…つまり、個々人の性質というより、行政による教育の賜物なのだと思います。

「ホンネとタテマエ」の「タテマエ」。この部分については、自分の意思に反してもパブリックに従っておく。小さな庶民としては、ある意味、戦略的な処世術だとは思います。でも、従っているうちに、パブリックを主導する行政機関などに「ホンネ」の部分までもが洗脳され、知らず識らずのうちに書き換えられてしまう。

庶民は「ご提案」という名の洗脳には無防備でした。

そして、戦後も親子三代です。じいちゃんからして「少国民」な洗脳の中に育ち、みんなと同じように洗濯機や冷蔵庫、テレビを所有することに幸福を見出す自分に疑いを持つこともできず、ただただ実直に働いて来た人です。もちろん、余暇を過ごすのは大量に複製された歌謡曲やヘルスセンターのようなマス的娯楽施設です。その子どもや孫は、さらに、そうしたことに疑いを持たずに成長し、今もスマホのゲームで時間を潰し、マニュアル・レーバーに働いているわけです。
これからも工業生産時代が続くなら、それでもいいのかもしれませんが、それは加速度的に過去のものになっていっている。「より安く」を消費者が望む限り、工業生産は海外に流出し、人件費が上がれば国内の労働市場も国際的な競争に巻き込まれていきます。

でも、今から知価(情報)生産に移行しようとしても、下手をすれば、じいちゃんからして、指示通りに「複写する」の経験しかなく、ゼロから何かを想像した経験値に乏しく、消費に明け暮れて来れば文化資本の蓄積にも乏しい…そんな感じなのかもしれません。

かつての行政なら、こうした人々を移民にして追い出したり、兵士にしようとするのでしょう。酷い話ですが、絵空事ではないことは歴史が証明しています。

…これからどうなるのかな。

すでに就業者としては外国人やAIにとって脅威ではなく、行政は税率を上げながらサービスを低下させ、高齢化が介護負担を強い、そして就業は不安定。消費者としても充てにされなくなっていくでしょう。もちろん彼らをターゲットにしたビジネス物語も描きにくくなるのだと思います。

(ユニクロもビジネスというよりは公的なインフラになってしまうのでしょう)

バブルの傷跡も癒せず、さらにリーマンショックに畳み掛けられ、それでも「これから高度成長期」というような時代のように土建な経済振興は続いています。

満州開拓団のみなさんを襲った悲劇、樺太に取り残された人たちの悲劇。戦後のドミニカ移民のみなさんのご苦労を思います。

お役人にとって、僕らは「処理すべきデータ」に過ぎないのでしょう。前川喜平(前文科省事務次官)さんのような方はごく稀な存在です。だから、信じて待っているのは危険です。第二次大戦中に行われた「虐殺」ともいうべき行為も、しばしば行政内の権力闘争などが起因で、それで庶民はゴミのように焼き殺されたりし、今もいたるところに収集されない遺骨になって、その地に打ち捨てられている…僕らはそんな存在です。

自立しましょう。「いつかなんとかしてくれる」と信じて待ってちゃダメです。「税金、払ってるんだから」も通用しません。追求しても官房長官のようにかわされるだけです。

棄民:戦争や災害などで困窮している人々を、国家が見捨てること。また、その人々。

憶えておきましょう。

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