大人とは

「イキのいい奴」というドラマ。主演は小林薫さんと金山一彦さん、脚本は寺内小春さん。1987年の放送(NHK)ですから、もう30年も前の作品です。

519AXD6ZAYL昭和24年頃の東京・柳橋に辰巳鮨というお寿司屋さんがある。そこに、安男という、やたら民主主義だ、自由だを振りかざす10代の若者が、お父さんに連れてこられて、ほぼ無理矢理、弟子入りさせられる…
その反抗的な若者が、親方や近所のおじさん、おばさんたち(故・若山富三郎さん、そのおかみさんに松尾嘉代さんなど)に触れるうち、彼らの考え方をじょじょに理解し、共感し、人間を成長させていくという物語です。

このドラマ、見方によっては、戦後の考え方と、戦前の下町にあった道理とのせめぎ合いの物語でもあります。で、かつての下町にあったものの考え方、人間関係のあり方の方がやっぱり温ったかくていいやとなるいうのがこのドラマの筋立てです。一方、このドラマが放送された1987年当時は、まさにバブルへGOの時代。あの「深夜の六本木交差点でタクシー停めるために1万円札ピラピラ」な雰囲気が街を席巻しようとしていた時代。現実の世の中、流れは全く逆でした。

ドラマの中では、みな住居兼店舗に暮らしています。寿司屋の親方も弟子も同じ屋根の下に寝起きしています。朝早くから夜遅くまで働いて、生活ぶりは質素。ロマネコンティやマルゴーに散財することはありません。88年に放送された続編で、隣の仕立て屋のおじさんのところが立ち退きになりかけますが、寿司屋の親方は、自分の住居兼店舗を抵当に入れて借金をし、おじさんに土地を買えと勧めます。大金を使うとしても、こんな感じの使い方です。この時代、失業保険はありませんが、親方は、いつか弟子が独立するときのためにとコツコツ積み立てをしています。しかも、一人前が見えてくると、小さくまとまっちゃあいけないからと、ちょっと恨まれそうなことをしてでも、弟子を独立させようと背中を押し続けます。

みないっぱしの大人です。

どこかにこういう大人がいないかと、いつもそれを探しているようにも思います。

そして、ぢっと手を見ます。

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