函館とヨコハマ

函館市の平成24年度の歳入は12億円ほど。人口は28万人弱です。一方、横浜市の平成24年度の歳入は14,320億円ほど。人口は370万人弱です。でも、この本(「函館をめぐる冒険」)に描かれているほどの情報をヨコハマはつくりだせていないと思います。もちろん量的に店舗数などでは圧倒的に横浜市に分があるのでしょうが、質的に「この本」一冊分の物語を紡ぎだすことができているのかどうか。それが横浜の港近くに三代暮らした家に生まれ(僕で四代め)。そして、倒れるまでは足しげく函館に通っていた僕の感想です。

51xnle1vmal五島軒のデミグラ、トラピストのバター・クッキーみたいな開港地のイメージのものだけでなく、千秋庵(総本家)は、どら焼きや山親爺(瓦煎餅)だけでなく、なんとも品良しな上生がいい。そんな店は、370万人都市であるはずのヨコハマには一軒もありません(6年間、リハビリ散歩で横浜市内を歩き回った僕をして思い当たるところがありません)。ラーメン、ハンバーガー、カレーだって、あれだけのレベルを保っていられるなんて、僕には夢のようです。

(函館にはこうした個人店を支える数多のお客さんがいらっしゃるということです)

あの尾道が未来への息吹を感じさせる一方で、空き家問題に悩むように、函館だって傷だらけです。でも、旧家の建物をリノベしつつワークショップを立ち上げても、そのワークショップのみなさんが、その家の「形」ではなく「質的な記憶」を継承しようとする。市井の人々が、自然にそういうことを大切にしているのです。

そして、若い人々も何かを始めている。面白いし、興味深い。

例えて言うなら、食い過ぎで糖尿病で高血圧なのがヨコハマなのでしょう。そして、僕がそうだったように、脳卒中をはじめとした循環器系の病気でボキっといく。ヨコハマは大量生産・大量消費時代の優等生。知価(情報)生産においてはとてつもなく貧弱。それなのに借金と人口だけは肥満。そもそも建物も東京製なら、映画やテレビから発信されるイメージも東京製。かつての「ハマトラ」でさえ、東京に雑誌の仕掛けです。「虎の威をかる」に気がつかないまま、自分たちの街文化を育むこともできず、育もうとした人々にも冷たかったのでしょう。でも、知価(情報)生産は資本力や消費力でどうこうなるものではありませんし、文化を育むのには百年単位の時間を必要とします。これからの巻き返しは不可能です。

これからのヨコハマと函館を比較しながらみていると、知価(情報)生産時代の都市振興のあり方が鮮明になっていくはずです。函館市役所は有り体で、ことさらに行政施策に優れているわけではありません。公立はこだて大学もなんだかピントがずれていますし、もちろん新幹線が起爆剤になるわけでもありません。

そんなことより「私立の街づくり」として函館の市民のみなさんに21世紀型の可能性があるのです。

たぶん、もうすぐ目に見えて結果が現れ始めます。

「函館をめぐる冒険」peeps hakodate 編(「peeps hakodate」は函館のローカルマガジンだそうです)
CCCメディアハウス 刊 

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