世界の先進国のうち、重厚長大な工業生産でその地位を獲得した国々が、その国の工業生産を支えてきた世代を多数とした民主主義によって道を見誤ろうとしています。UKのEU離脱、トランプ氏を大統領に担ごうとしているアメリカ合衆国、原発を再稼動させ、平和憲法に修正を加えようとしているわが国…。あの国の内情はつまびらかにはなりませんが、中華人民共和国にも同じような圧力が存在しているのかもしれません。
ピーター・バラカン氏が、EU離脱直後に、それを選択した人々は「世界中どこへ行っても英語が通じると思っている人たち」と揶揄されるような発言をされていました。ある人は、論拠なく「大英帝国の誇り」を埋め込まれ、戦場に送り込まれた世代だともいっておられました。
ようは満足な教育が受けられず、兵士か工場生産や単純なマニュアル・レーバーための労働者に仕立てられた世代ということでしょう。
そして、彼らは無邪気な反知性主義者。熱情を与えてくれるアジテーターにも弱い…国家の思惑によってそう仕立てられた人々なので、彼らは大量に存在する。
兵士であり、労働者としての生き方を叩き込まれているので、彼らは臨機応変にライフ・デザインを切り替えることもできません。
つまり、これから起こることは国家の宿痾であり宿命なのでしょう。
その出来事が次代の陣痛になるのか、人類の滅亡に繋がる一撃になるのかはわかりません。
ただ、ベビーブーマーたちの「数で押し切ろう」とした学生運動と違って、各国に極めて明瞭なスジの通った若い社会運動の萌芽はありますから「陣痛」である可能性も低くはないと思っています。
でも、これから起こる災禍を避けることはう可能でしょう。そのことによって、単純に「長幼之序」とばかりに思いの丈を述べている世代が一斉に口を噤がなければならないほどに、明確な災禍…焦土と化したこの国を眼前に、若手が采配を振れるようになった、あのときのように。
僕は「夜明け」を信じています。