自分の気持ちに正直に進む人

悔いの残らぬようにと、思いのままを目指すと、たいていは周囲こそが苦労を背負い込むことになるのはなぜでしょう。

僕が高校生の頃の先輩に、いいベースを弾く人がいました。いいベースを弾くのに、あまり部活には出てこず、そして独特の影がある大人びた少年でした。

ずいぶん後なって、先輩のお父さんは彼の生徒さんだった女性と恋に落ち、我が家を出て行き、当時の先輩は心に病を負ったお母さまをずっと介護していらしたことを知りました。経済的には心配がなかったようですが、お母さまについてはまさに目の離せない状況で、大学も通信制だったと聞いています。

お父さんは自らの心に正直に生きたのだと思います。その後は恋に落ちた女性とあえて財産も持たず誠実に生きておられたようです。二人は話し合った上で、お子さんを持たなかったようです。
でも、お母さまは苦しみながら早くに亡くなられ、先輩は中学生の頃からお母さまの介護に一日の大半を費やさねばならなかった…

文学なら美しい話しだと見る向きもあるでしょう。でも、お母さまも先輩も現実の人です。

イングランドの投票結果も「思いを遂げる」ものだったでしょう。若い人たちよりご高齢の方の意思が反映された結果だったという人もいました。
この顛末を知るにつけ、僕は先輩のことを思い出しています。

思いのまま、自分の気持ちに正直に進む人…でも、彼はたった一人で存在しているわけではない。

街で一度だけ見かけた先輩は、やっぱり影がある人でした。もう自由になってずいぶん時間は経っているはずなのに。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

w

%s と連携中