実 感

政府の地震調査委員会が、この10日に公表した2016年版「全国地震動予測地図」で、今後30年間に震度6弱以上の揺れが起きる確率が、横浜市は81%と全国の県庁所在地のうち千葉市に次ぎ、第2位だったわけです。このニュースについて、TVのニュースワイドの街頭取材で感想を問われた妙齢の母娘さん…

「でも、実感がないから」と。

そりゃそうです。予知能力でもない限り「実感」がなくて当然です。
「実感」があるほうが恐ろしい…

でも「実感」がないから、まだ準備しなくともよい…それが正解であるわけがありません。たぶん、このことは妙齢の母娘さんも判っていたはずで、故にバツの悪い表情を浮かべながら「でも、実感がないから」とお応えになってたんだと思います。
確かに、30年に1回かもしれませんから29年は大丈夫かもしれませんが、でも、震災はあした来るかもしれない。そういうことは母娘さんだって十二分に判っているはずです。

(たぶん、近く、この国が潰れちゃうような経済的な大苦境がやってくることも薄々は感ずいているんでしょう)

でも「実感」がない。実感がないうちは備えない。今まで通り…

今後30年間に震度6弱以上の揺れが起きる確率が80%以上あって、ハイパーなインフレの危惧もあって、それでもローンを組んで「マイホーム」を買う。ローンを組んじゃって苦しいから地震の備えは後回し。

不条理といえばこれほどの不条理もありません。でも、これが街場のスタンダードでしょう。地震を理由に「マイホーム」を買うのを止めて地震の備えにたっぷりと家計予算を回す人の方が変わり者です。

なぜなんでしょうね。不条理の方がスタンダード。しかも命懸けだったり、全財産をかけているようだったり…

「実感」があるまで動かないっていうのは、それだけ、自分の「実感」を信じているっていうことでもありますよね。僕は自分を信じないから、本を読んだり、資料を当たりますけど。自分の「実感」を頼りに世の中渡れるようなら、僕が市井に埋もれているはずないですからね。

あの母娘さんは、インタビューの後、たぶんショッピングの続きなんだろうな、雑踏の中に消えてゆかれました。

実 感」への2件のフィードバック

  1. Sachie の発言:

    とてつもない金額を企業や政財界の人々が裏で使っていたり隠していたことが話題になっても長く続かず、すぐに忘れてしまう。サミットやオリンピックの経費についても同じ。何故なら、それらの金額は自分たちが見た、使ったことがない金額だから腹をたてようがない、つまり実感がないのだろうと思います。それより個人的な宿代や書籍代を経費で落としたとか、自分が1度でも見たことがある、使ったことがある金額を政治家が経費で頻繁に落としていたりするほうが腹が立つんだろうと思います。「実感」なんて、そんなもんかなと、日本の昨今のニュースを見て思いました。

    • つまり「実感」を超えた判断の基軸を持たないと、実質は「なされるがまま」ということ。でも、そのためには面白くもない勉強を、ボクサーのロード・ワークのように続けていかなければなりません。そこを割愛する限り、判断基準は、つたない「実感」です。
      でもロード・ワークですからね。なかなか続けられないのがスタンダードでしょう。三日坊主でない人の方が変わり者というわけです。せめて、そういう人たちを尊敬できるムードでもあればいいんですが「赤信号、みんなで渡れば怖くない」とばかり、そうした人々を異端視するのが、現況の「世間」でしょう。そのあたりの雰囲気だけでも改められればと思うのですが、なかなか。大衆社会(あるいは群衆社会)から市民社会への道はまだ始まったばかりです。

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