引用

あの「サイゴンから来た妻と娘」(今は文春文庫かな)の著者=近藤 紘一さんは、いくつかの著作で戦争末期のサイゴンの様子を活写されています。その戦時下にあってもサイゴンの人々は花を飾ることは忘れない…。庶民的な集合住宅にさえ、ベランダ、窓という窓に花が飾られていると、近藤さんも驚かれています。
このサイゴンで出会ったベトナム人である奥様は東京に来てからも花を絶やさぬ生活をする。あまりに熱心に世話をするので「そんなに、まめに水遣りをしなくても…」というと「あなたは一日に何杯の水を飲む?」と、逆に怒られてしまう。

日本では、集合住宅で「ベランダー」な感じに、花(植物)を育てている人の方がマイノリティでしょう。仕事に子育てに忙しい。高齢の単家族でその余裕がないなどの理由はあるんでしょうが、考えてみればサイゴンは戦時中だったわけです。日本やイングランドのように戦争になった突端に「その日の食糧にも事欠く」といった国がらではなかったにしろ、第二次世界大戦終了後もずっと戦争が続いていたのがベトナムという国。近藤さんが活写されているのは戦争状態が30年以上も続いた後のサイゴンです。

心がけ次第なのかもしれません。

これから先の日本では、戦闘はなくとも、戦時下にあるようなプレッシャーを受けながら暮らす日々が長く続くことになるのでしょう。その「長さ」に耐える工夫をかつてのサイゴンの人々に学んでは、とも思う今日この頃です。

「花」のことだけではなく、近藤さんの著作は、この「サイゴンから来た妻と娘」だけでなく「サイゴンのいちばん長い日」など、あの頃のサイゴンを知るには格好の材料を提供してくれています。

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