戦後への準備を

阪神・淡路大震災の被災が「点」の被災であったように思えてしまうほどに、東日本大震災での被災は未曾有で広大無辺のもの。それ故に、この国は、まさに想像を絶するほどに膨大で大規模な土木、建築工事を行っています。復興特別税があったとしても、そもそも、この国の財政は健全ではない…そして急速な少子高齢化に将来は「縮みゆく国」です。

それなのに、これから東京オリンピックの施設工事を本格化させていくわけです。新しい巨大な施設をつくる…

しかし、震災から5年が過ぎて、日本は変わったのだろうか。一時は全停止とされた原発は次々と再稼働を始めている。悪夢のような事故が、まるでなかったかのように。
問題が収拾したとは思えないにもかかわらず、しかも完全にアンダーコントロールだと国際的に宣言し、2020年東京オリンピックの招致に成功した。これが決定した瞬間、ああ東北の復興の邪魔になるなと思ったことをよく覚えている。
すでに資材や人材の不足によって、被災地では建設費が高騰しており、入札不調が繰り返されていた。そうした状態で、オリンピックの準備を開始したら、どうなるのか。当然、東京に新しい工事現場が急増し、被災地と人とモノの奪い合いになる。さらにコストは高くなり、お互いに苦しむことになった。

これは「都市問題」という雑誌の2016年3月号に、五十嵐太郎さん(東北大学大学院工学研究科教授)が執筆された「建築の立場から考える復興の思想」という文章の一節です。簡潔に復興と、今度の東京オリンピックの関係を説明されています。例えは悪いかもしれませんが、僕は飛行機を中心とした機動部隊で真珠湾攻撃を成功させたのに、まだ、大和、武蔵といったとんでもない「大鑑巨砲」を建造し竣工させた、あの頃の日本を思います。

同じ道を辿っているのでは…

原発事故、復興、これから団塊の世代が一気に後期高齢化していくこと、それを支える世代は少子化であること。多くの人々が未だ工業生産時代のマニュアル・レーバーを抜け出せせていないこと。空洞化する再開発地、街並み、そして失敗したコンパクト・シティ。予算はついても的確な方策が見いだせない地方創生…

本腰を入れても解決できるかどうかもわからない問題が山積しているのに、世界に向けてオリンピックを開催する。

たぶん、あの頃の大日本帝国のようにこの国は負けます。敵国はいなくとも、この国が抱える状況に敗北します。

まず「終戦直後」への備えをし、その後の「戦後」に対応できるよう準備を始めましょう。あの頃、進駐軍のキャンプを回って食いつないでいたミュージシャンたちも、とりあえず「終戦直後」までに楽器を弾くことはできるようになっていたというわけです。

大きな時代の断層ですが、ヒントはあります。心して準備をしましょう。

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