どんな未来

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左は日比谷公園(東京都千代田区)にある「市政会館」という建物です。現在は公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所の本部がありますが、戦前は同盟通信社(戦後、共同通信社と時事通信社に分裂)の本社が置かれていました。竣工は1929(昭和4)年。今は東京都選定歴史的建築物のひとつ担っています。アール・デコっていうよりさらにゴシックな感じで、あんまり気色がいい建物デザインとはいえませんが、それでも、まだ大工さんたちが現場で造った時代の建築物であるところの「温かみ」を感じることはできるような気がします。

下の写真は、お馴染み、お台場のフジ・サンケイグループの本社ビルです(FCGビル)。かの丹下健三先生のデザイン。まさに「鉄腕アトム」時代の近未来都市をそのまま具現化したような建物です。
でも、それより何より「工業生産品」っぽい。そして、そのことが、この建物の「冷たさ」をさらに際立たせているように思います。

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東京タワーとスカイ・ツリーにもこういう違いがあります。前者は、確かに北野武さんのお父さんがペンキを塗りに行ったというエピソードがうかがえる建築物ですが、後者は工場で造ったものを現場で組み上げた感が強く、つまりは機械が造った「工業生産品」でしかない感じがする…故に、模型を部屋に飾っておきたくなるようなラブリーな感じはしません。

戦前から高度成長期の前半までは、大きな建物も、その人ありといわれるような棟梁がいて、多くの職人たちがそれぞれの技能を合唱させるように棟上げていったのでしょう。それに比較すれば、現在の建物は予算規模が大きくなってもプラモデルのようです。

yamamoto-shika右の写真は神田須田町の山本歯科医院です。1928(昭和3)年に診療所兼住宅として造られた三階建ての看板建築です。このぬくもりは人々が「手で造った」証でしょう。そういう意味では、この建物は工業生産品ではなくて工芸品です。

近頃は小さな個人宅でも「工業生産品」。現場ではプラモデルを組み立てるように建築作業が進められています。つらい修行がいらなくなった分、就業者にとってはバリアフリーなのかもしれませんが、建築物は紙製のように華奢になりました。

しかも、この「安かろう」には金儲けが絡みますから、あからさまに「悪かろう」です。東京でも空襲を免れれば、街場でも100年現役の建物が少なくありませんが、今時のビニール張りみたいな木造建築は、工務店が瑕疵担保責任を問われる築10年を超えたあたりまでしか持たないのでしょう。

冷たくて華奢で保たない建築物に、僕らはどんな未来を体験することになるのでしょう。

 

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