人の集まる場所=いわゆる繁華街、ショッピングモール…ここへ来て少し浮ついた気分が滲んでくるようになりました。活気が戻ってきたと喜ぶ方もいらっしゃるのでしょうが、バブルの頃の饐えた匂いが混じっていて清しい気分にはなれません。
場末にさえ、杭打ちにクレーンを導入するようなマンションが建設され、再開発地には超高層のビル群が姿を現しつつあります。ご承知のように、わが国は「超」がつく少子高齢化。人口は加速度的に減ってゆきます。でも、それなのにあちこちにマンションの新築。少数精鋭主義だし、家でも仕事ができる時代に広いオフィスは無用の長物。それなのに超高層のオフィスを新築します。
大鑑巨砲の時代が終わっても世界最大の戦艦をつくったあの頃のようです。
木造の一戸建て住宅も建築ラッシュです。わが家から駅に着くまでに10棟以上が建築中です。大きなホッチキッスでベニヤ板を打ちつける音が響いています。一応の基礎工事を終えて、地盤から浸み出す水が止まらないと業者さんが集まっている場面に遭遇したところには、すでに木造3階建の住居が建っていて、今は、あるご家族が暮らしていらっしゃいます。
無理と嘘です。
たぶんオリンピックまでは、この嘘をつき続け、無理を重ね続けるのでしょう。故に大変なるのはその後です。しかも嘘と無理を重ねた分、反動は大きなものになります。
ああ、やっぱりそうかと思います。
一極集中とはいえ、これは首都圏だけに止まらない現象でしょう。何しろ政府と日銀が主導していることです。1964年の東京オリンピックは敗戦から20年とたっていない時代ですから、建物をつくることが人々を幸せにしたのでしょう。団塊の世代もまだ高校生でした。でも、今は違う…違うのに建築ラッシュ。人々の消費を煽ります。ポスト工業生産社会を見越して「勉強しよう」とはいわないのです。
次の東京オリンピックまで、あと5年弱。震災にための備蓄食料を用意するのと違って「買ってくれば済む」というものではありません、つまり時間にゆとりはないのです。
今こそ「アリとキリギリス」の噺を思い出した方がいい時期なのかも知れません。