すぐに乗せられる。お先棒担ぎにもなる

僕が子どもの頃に起こった、この国では最初の航空機ハイジャック事件「よど号ハイジャック事件」の犯人たちは、その犯行声明文の最後に「われわれは明日のジョーである(正しくは「あしたのジョー」)と綴りました。言わずもがな。「あしたのジョー」は高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや画による漫画作品の大傑作です。

僕は、彼らがこう綴ったことに「現実よりもフィクションが先行していたこと」の恐ろしさを垣間見るように思います。だいたい、朝鮮半島の武力統一やら、中華人民共和国の世界革命根拠地化やら、彼らの考え方自体がフィクションにとらわれているものでした。同じ漫画作品の「沈黙の艦隊」の方がまだリアリティがあるようにも思えるような陳腐なつくり話しでした。

でも「ハイジャックに巻き込まれた人たちがいた」ということは現実でした。

あのヒトラーが優生思想(民族衛生学)の信奉者であり、それがユダヤ人やロマの人々の虐殺の論拠になったというのはよく知られた話ですが、第二次大戦後にも人種差別を残したアメリカ合衆国にこそ優生思想(民族衛生学)の信奉者はいて、ロックフェラー財団はドイツの優生学者たちを支援し、またアメリカ合衆国の優生学者たちもナチスの「断種法」などの政策を支持していました。

フィクションは簡単に人を操り、暴走させ、また、本当の罪人を隠蔽することにフィクションを利用する人々もいます。

IKEAの創始者=イングヴァル・カンプラードは、かつてナチスに傾倒し、彼の地のファシスト団体に所属し、反ユダヤ運動に熱心だった人です。シンプルなライフスタイルを謳いながら、自らは葡萄畑と豪華な邸宅、高級リゾート地にも別荘を持つなど、今もIKEAという物語には不似合いな生活を送っています。
彼は、IKEAというフィクションをゲッペルスのプロパガンダのように利用し、ビジネスを展開しただけで「新しいライフスタイルを提唱した」わけではなかったのでしょう。

僕らは、こういうことに無防備すぎるのでしょう。そして、すぐに乗せられる。お先棒担ぎにもなる…

僕は嫌だな。そう思います。

すぐに乗せられる。お先棒担ぎにもなる」への2件のフィードバック

  1. Sachie の発言:

    安倍政権の支持率が上昇したと聞きました。フィクションに踊らされている人が思っているよりたくさんいるんだなと思います。

    • まだ工業生産時代の工業生産にこそ順応できる教育を施された人たちが、この国の大半です。ノウハウを覚え、分担を割り振られて、指示されたように働き、結果を出す。この構図をうまく利用して為政者はプロパガンダを流し、金儲けを志向する人はCMを流します。その何れもが政府によって半ば肯定(あるいは推奨)されている状況…そして、この状況に「上手く踊れること」こそを褒めそやすのが、この国の学校教育です。
      「言われるとおり」にしていたら「フィクションに踊らされる人」になってしまう確率が高いわけですから、たぶん「フィクションに踊らされない人」の方がマイノリティでしょう。そして、この状況は何かがない限り当分続きます。
      僕が「ボート造るしかあるまい」と思っている所以です。

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