引用

赤い文化住宅の初子

しんしんと染み込むように切ない作品です。

hatsuko1一番、感心させられたのは、この映画の背景というか、空気感みたいなものの描き方です。
どうあがいても何も起こらなそうな小さな町に懈怠に生きている人たち…そういうことが言語的に説明されるものではく、あくまでも「雰囲気」みたいなものとして描かれている。

空間性ではなく場所性を描くのは口で言うほど易しいことではないはずです。

hatsukoしかも、アジテーションを訴えられるように、ではなく、感性で描かれている…だから瑞々しいし、リアル。

主人公の少女も悲壮に過ぎるわけではない。現実に生きている人間がそうであるように、この現実の中でたんたんと生き、小さな恋愛に希望を少しだけ繋いで生きている。
少女の兄も、フツウに、この重圧に押しつぶされそうになりながら、でも、どこかで優しさを忘れず、でも、自分の自由も捨てられず、もがいている…でも、ドラマチックにもがくわけではない…だからリアル。
どこかがフィクションに過ぎれば、一瞬にして崩壊するような繊細な仕事。
ホームレスのお父さんが帰ってきてから、お亡くなりになるあたりは、あれ?と思ったけれど、そこは、すっとフェード・アウト…すぐに、この映画の空気感に戻っていく…大したものです。

それにしても、わが国も、また、こういう画が撮れるような国になっちゃったんだなーと、あらためてそう思いました。全部のロケ地はわかりませんでしたが(エンド・ロールには日野市と三浦市、京浜急行の名前がありますが)、こういう希望のない時間が流れる町が、ある程度は実在していてくれないと、こういう映画って撮れないはずですからね。

「赤い文化住宅」の「文化住宅」というところを噛み締めざるを得ないな。

「赤い文化住宅の初子」
タナダ ユキ 監督(2007年)/原作 松田洋子
出演 東亜優/塩谷瞬

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