梁英姫 監督の

梁英姫(ヤン・ヨンヒ)監督の「ディア・ピョンヤン」はドキュメンタリー映画。2006年の8月に公開された作品で、DVDが発売されたのは、翌年のことでした。

この映画は、梁監督のお父様、お母様、そしてご家族の日常を追った物語です。ただ、お父様もお母様も朝鮮総連の幹部、梁監督のお兄様3人は、すべて帰国事業で帰国。今はピョンヤンで暮らしている…お父様とお母様は敬愛する将軍様に忠誠を誓いつつ、ご本人たちはつましい生活を送りながら、北に居る3人のお兄様や親戚、友人たちにせっせと物やお金を送っている…そういうご家庭です。

dear映画の中には、万景峰号の船内も、ピョンヤンのご兄弟一家の生活風景も映し出されますが、あっけないほど普通。確かに、お兄さんの息子さんがピアノを練習しているのは「ろうそくの灯」の元だったりはしますが、それ以外は、ただの見慣れた中流っぽい家族の幸福風景です。

監督自身もご指摘になっているように、その暮らしは、お父様とお母様がせっせと送る物資を背景に成り立っているものです。ピアノはYAMAMAでしたし、女の子はキティちゃんのパジャマを来ていました。
ピョンヤンに暮らしているというだけでエリートという話しもあるようですから、これで北朝鮮=朝鮮民主主義人民共和国の大半の人々の生活レベルを推し量るわけにはいきませんが、とにかく、あっけないくらい「革命完遂」な感じがない「中流」な感じなのです。

しかも、その経済力は、お父様、お母様に拠るところ、その家庭の地位も大きな影響を及ぼしているようでした。朝鮮総連の幹部という政治的な地位があるから、ピアノの教則本の背表紙もみな日本語のものなんでしょうし、宿題の参考資料にしていた本も、どこの家庭にでもあるというものではなさそうでした。そして、お子さんたちはエリート校の生徒。貧富の差に資本主義も社会主義もなさそうですし、情報統制が効いているぶん、利権を牛耳る個人は、より蔓延(はびこ)りそうな感じもしました。

梁監督は、この家の末娘にあたり、日本に暮らしているので、その影響を最も強く受けている。だから、ご両親、ご兄弟のことを愛する家族とは思いながら、主義主張の面では斜に構えて見ざるを得ないという状況にいらっしゃる…
そうした心情を抱えながら、まるでホーム・ムービーのように家族をとらえた作品は、それ故にとてもリアルだったし、北朝鮮憎しでもなく、また、革命バンザイでもない、この問題を取扱っているにしては、希有なドキュメンタリー作品になっていると思います。

最後までご覧いただくと「ああ、そうだよな。誰だって普通の親子だよな」と再確認させらる作品です(奥さんはまたオンオン泣いていました)。

いろいろ教えてくれた梁英姫監督に、思わず「ありがとう」といいたくなりました。

「ディア・ピョンヤン」(2006年)
監督・脚本・撮影:梁英姫(ヤン・ヨンヒ)/プロデューサー:稲葉敏也
編集:中牛あかね/サウンド:犬丸正博

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