函館という街

横浜市の総人口は367万人ほど、市役所の一般会計も14、182億円くらい。対して函館市は総人口27万人ほど、市役所の一般会計は1370億円くらい。この数字だけを見れば函館市は横浜市の10分の一以下の都市ということになります。でも、これは、あくまでも「量」的な比較であって、それ以上でも、それ以下でもありません。

函館市の五島軒の創業は1879(明治12)年、つまり創業135年以上。その間、継ぎ足し継ぎ足し維持されてきたデミグラス・ソースは言葉で言い表すことが「返って野暮」だと思えるくらいの旨味、まろみ…関東にいるとちょくちょく出会うのは(五島軒の)レトルトのカレーですが、それで終わりにせず、ぜひ本店レストラン「雪河亭」で伝統の「洋食」を味わっていただきたいという所以です。
名称未設定-1確かに開港地としてはヨコハマは函館のちょっとだけ後輩にあたります。でも、それにしてもヨコハマには五島軒のような立派な洋食屋さんがないのでしょう。なんとなくホテル・ニューグランドのレストランが紹介されることがありますが、その味も、つまりは「進駐軍」の味なので、戦後のものです。確かに、大きな災禍に遭っているヨコハマですが、函館も何度となく市街を焼き尽くすような大火に遭遇し、もちろん前の大戦時には空襲にも遭っています。

五島軒が創業した1879(明治12)年といえば、ヨコハマで、わが国初の生糸繭共進会(まぁ、見本市ですね。今時でいえば「メッセ」とか)が開催された年です。以来、ヨコハマは成り上がりと金儲けに終始してきたきらいがあります。そうしたことを反映してか、料理屋さん、レストランの評価も、美味しいか不味いかよりも、店の席数であり、店舗の数。つまり「量的」なわけです。

函館市には、五島軒以外にも、様々なジャンルで秀逸な「美味しい」があります。観光客が誰も行かないような場末に、絶品のラーメン屋さんがあります。

たぶん、この違いは店を盛り立てるお客さんたちの価値観に拠るものだと思っています。

1980年代以降は函館だって「成り上がりと金儲け」な色彩を帯びました。そして今は、その傷跡が公共施策に手詰まり感を与えています。でも、函館の地下水脈は力強い。

これからは「量」ではありません。一方、交通事情が世界中の移動距離を縮めていっています。また、街文化が光り輝いてみえる時代になるでしょう。

それも1960年代末の新宿やセゾン全盛時代の渋谷のように「訪れる街」であり「流行の街」ではなく、落ち着いて長期に過ごせる、あるいは暮らせる街」です。

そうなれば「即席」は不可能。函館のように、すでに熟成された街が有利です。
急に五島軒のデミグラス・ソースの味を出そうとしても不可能なのと同じです。

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