埋め地

僕は東京の生まれです。上野の山の山すそ。今や下町の代名詞的なところですが、日本橋や神田あたりの「古町」と比較すれば新開地。隅田川の河口域の湿地帯を埋め立てて造成した人工のドライ・ランドです。一方、育ったヨコハマも埋め地。周りの山を切り崩して海を埋め立てたところ。港ヨコハマといえば聞こえはいいのかもしれませんが、湿度の高い湿った風が吹く、ぬるいお土地柄です。
僕は、この埋め地に50歳近くまでの大半の時間を過ごし、その地の空気感を、なんとなく、この国に普遍的な普遍的なものと誤解してきました。

でも、そうではない…

ヨコハマも、中区、西区、南区は大半が埋め地ですが神奈川区に来ると縄文時代以前からのドライ・ランド(つまり天然の)が豊富です。あんまりいいことじゃないのかもしれませんが、どう見ても「これ貝塚だよなー」というところが宅地になっていたりするくらいです。
そういう場所に数年暮らしてみると、埋め地が「子どもの頃、飼っていたヤドカリ水槽の下に敷いてあった砂」みたいな地盤なんだと思うようになりました。子どもだから管理が下手くそで、腐った水とヤドカリの排泄物で恐ろしい状態にし、ヤドカリの生命を脅かし、虫をわかせる…

僕はそういう環境に生まれて、育ってきたんだなーと思っています。

埋め地は平らで便利です。在来交通機関も発達しています。でも、下水は滞留しがちだし、鳥はカラスと鳩ぐらいしかいない…つまり彼らに食物を与えてくれるような緑もないということです。

僕は、あの頃のヤドカリのような環境に暮らしてきたのかもしれません。

今はどこに行くにも長い坂か、階段の昇り降りが必要ですが、毎日、知らない鳥たちに出会っています。朝も夕も美しいところです。なにより、いい風が吹きます。家の中を風が抜けるという経験を、たぶん人生で初めて経験しています。

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