安心だから

この国に暮らしたいと思っている外国人は、僕らが思っている以上に多いんだと思います。

かつてヨコハマの歓楽街に暮らしていた頃、丸太のような二の腕にタツゥーを入れたアフリカ系のアメリカ人が、時を重ねるごとに柔和な顔になり、やがては日本人の彼女を連れ、いつかしか仲良く彼女トベビーカートを押し、その頃になると同一人物かと思うほどに柔かな人になっており…そういうことを時間経過とともに体験したことがあります。

彼も、ここでは撃たれる心配がないと言い、この国に来てやっと、かつての自分がずっと緊張感の中で暮らしていたということがわかったと言っていました。

NHK総合の「ドキュメント72時間」、5月22日放送の「六本木・ケバブ屋 異邦人たちの交差点」を見ていて、彼のことを思い出しました。

20歳代の頃は、親のスネとあぶく銭的稼ぎもあって、あっちこっちの国を訪ねさせてもらいましたが、確かに日本こそは電車で熟睡できる国。人種(部族)や宗教の違いだけで殺される心配のない稀有な国なのだと思います(その分、ファンキーな面白みには欠ける国かもしれませんが)。

「ドキュメント72時間」に登場したアメリカからやってきた若者。たぶん彼はアフリカ系だけれど「俺たちみたいな人間は撃たれるよ」「でも、ここなら安全だ。日本ではみんな歓迎してくれるし謙虚だし、何より人を判断しない、決めつけないんだ」と言っていました。
もちろん、僕らは彼らを無条件で歓迎しているわけではないし、謙虚でもないし、人を判断するし、決めつけるわけですが、そういう僕らをして、彼には「歓迎してくれているし、謙虚だし、決めつけない」人たちに見える…それほどに彼は彼の故郷であるところのアメリカで辛い思いをしてきたのだと思います。

いたずらに閉ざさずに「天国に近い島」であることをアピールすべきなのかもしれません。
こうしたことは付け焼き刃ではできませんし、工業生産技術のように、盗むこともできないジャンルです。もちろん、どんなに巨額の投資をしても追いつくことは不可能です。

でも、僕らには空気のようなものだから、その存在感が意識できません。
そして舶来の文化をありがたがったりもする。

しかも、彼らが長く日本に滞在している理由を誤解している…
彼らは「稼げる」から日本にいるのではなく、日本のサブカルチャーがクールだからでもなく、「安心だから」この国に留まっているのです。

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