人間中心というか、人間傲慢な20世紀のライススタイルを経験してきた世代には、オーガニックっていうのは「やせ我慢」にも似たようなものであるはずです。なにしろ20世紀には人間に対して「従」だった自然に、今度は人間の方が「従」になる、なろうよ、というのがオーガニックです。面倒だし、不快でしょう。
未だに20世紀の延長線上に快適と安全を謳う「人間のためのオーガニック」もありますが、それは「原子力発電は地球にやさしい」という日本原電のキャッチフレーズみたいなもんです。
確かにオーガニックは心地いいもんだと思います。でも、それは不便や面倒、不快を承知で飛び込んでみたら、20世紀的な華飾がすっかりとれてしまって、そのことによって心が楽になるということです。
コンビニ弁当、冷食、ハンバーガーなどに明け暮れた食生活をそのままに、いっとき本格的なオーガニック食材をオーガニックに調理した料理を食べても、それはただ物足りないだけです。
野菜の甘みや旨みがわかるようになるにはそれなりの時間がかかります。
それよりなにより「人間が『従』」を体感し、体現しないとオーガニックの心地よさはわからないはずです。