久しぶりに渇望するように映画が観たくなってでも上映作品にそれという作品はなくBlue-rayで手に取った作品です。
「2つ目の窓」河瀬直美監督作品
生まれて、生きて、死んでいく。そのことを目を背けたくなるような現実としてゴリ押ししてくるのでもなく、綺麗ごとの物語の中に閉じ込めるのでもなく…。ああ、こういう映画ができるんだなと思いました。
河瀬監督の作品には苦手意識があったんですが、この作品には、その苦手意識を忘れさせてくれる「詩(うた)」みたいなものが流れていて、シナリオ性を忘れることができました。
ことさらにドラマ化しようと思わなくとも「生まれて、生きて、死んでいく」をそのまま描けば「詩」になるといったところでしょうか。
そういう意味ではドキュメンタリーには絶対にできないドキュメンタリーだともいえるかもしれません。
目を背けたくなるようなことも、悲しさも「生まれて、生きて、死んでいく」という美しさの、ほんの一部。そして、僕らは、本来、ある「清流」の一部であるということ。「私らしく」を追求するより、その「流れ」を見つけ、その「流れ」に身を任せてしまった方が、どれだけ幸福であるか。
考えさせられもし、優しさに浸れる120分でもありました。
「2つ目の窓」
監督 河瀬直美監督
出演 村上虹郎/吉永淳/杉本哲太/松田美由紀/渡辺真起子 他