引用

山口百恵という人

この本がベストセラーになった頃は、たかがタレント本と見向きもしませんでした。山口百恵さんの自伝本。1980年9月の初版。文庫化されてからでさえ、もう20年以上たっている本です。

不可思議な本です。

img_3578たぶん、編集を担当された方が手を入れていらっしゃるんだとは思うんです。もしかしたら、曖昧だった文体を鮮明にしたのもその方だったかもしれません。でも、この本、いわゆるゴースト・ライターの手に拠るものだとは思えません。ただ、だからといって、ホントにこれ、20歳そこそこの女の子が書いたのかよとそのへんについても腑に落ちない…故に不可思議な本だなと、そう思っています。

かなり高い確率でご本人がお書きになっているのだと思うのですが、彼女の語る、ほんの小さな子どもだったときの記憶からして、あまりにも大人びていて、冷静で…悲しさとか、哀れみとか、そういうことより、その冷静さにゾっとしてしまう方が先に立ってしまいます。ご主人との恋愛の記述についてもそうです。

フワフワした感じがどこにもありません。少女がいないのです。

男の妄想が、勝手に「少女像」をつくりだし、その少女と、彼女の書いた文章に描かれた「10代の女性」にギャップがあるから戸惑っているだけ。この本から感じられることの方がリアルなんだと思ってみても、ぬぐい去ることができないほどの違和感が、そこにあるわけです。

逆にいえば、それこそが、ご本人がお書きになった証拠ともいえるわけですが…

(編集者が主導的だったり、ゴースト・ライターが書いてるんなら、いくらなんでも、もう少しこの本の主人公=山口百恵という人をステレオ・タイプな少女像に近づけて書くと思います)

だからこそ、山口百恵さんという方は、いったいどんな方なのだろうと違和感と興味とがないまぜになったような不思議な感覚が今も消えません。

あの頃、この本をお読みになった方は、この本に描かれている「山口百恵」という人にいったいどのような印象を持ったのでしょう。山口百恵さんがメディアから姿を消してもう30年近く…今を生きる若いみなさんは、この本をどのように読まれるのでしょう。

蒼い時 山口百恵 著 集英社 刊(集英社文庫)

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