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映画「ジュラシック・パーク」の原作者=マイケル・クライトンさんは、かつてNHK-BSの番組のインタビューに応えて以下のように応えられていました。

「都会から離れ、自然の中にいると、数限りない星が夜空に光っていることを目にすることができる。こういう環境にいて、子どもたちに話しをしてやれれば、自分たちがどんなにか、ちっぽけな存在であるかをリアルな形で説明できる。けれど、人間のつくり出した人工物しか眼に入らない都市の中では、当然のように、子どもたちは人間のことしか考えなくなるだろう」

彼は「ジュラシック・パーク」の原作者、この作品以外にも、たんねんに取材された科学的な仮説ともいうべき、未来に警告を発するような小説をたくさん書いていて、それで「未来予言作家」などと言われている作家さんです。以前、養老猛司さんも人間の脳の中にイメージされたものを具現化していく、つまり人工物優位の社会を「脳化社会」として、その危険性を指摘されておられました。だから、一日のうち、ほんの少しの時間でもいいから、人工物でないものに触れる機会をつくった方がよいとおっしゃっていました。

クライトンさんは、自然の力の大きさを身を以て知るために、実際に、ジャングル、山、海へと分け入って、自然の恐怖を、ときには命がけで体験しているそうです(そういう体験だけを綴ったノンフィクション作品もあるそうです)。彼は「人間は確かに頭はいいかもしれないが、平原のただなかに置かれた動物の一種に過ぎない」とおっしゃっています。でも、そうしたことを実感するには努力が要る。放っておけば、自分が描いた「脳化社会」の中にいくらでも埋没できるのです。

オートロックの内側に暮らし、高速道路で通勤し、IDカードを提示して高層ビルに吸い込まれているような生活をして、僕らは自然すら「疑似体験」として学習する。それで不自然さをどうやって体感するのか…

クライトンさんの行為を子どもじみていると笑えない所以です。

原子力発電…

火力発電には、排気ガスによる被害と地球温暖化を加速させるのではという問題がつきまといますが、それでも、これは地球のつくった化石燃料と私たちの科学技術がコラボレーションしている形で、電気をつくります。同様に、あまりに大型のダムも環境破壊の要因となりますが、水力発電は、水が流れる力と私たちの科学技術がコラボレーションしている形で電気をつくるものです。地熱発電、波の力を利用した発電、風力発電、メタンなどの発酵ガスを用いる発電、水素による発電…etc.環境への負荷の大小はともかく、これらはみな、もともと地球にある物質や、自然現象とのコラボレーションで電気をつくる方法論です。でも、原子力発電だけは違います。これは完全無欠の人工エネルギー、もともと地球には存在しない、人間が編み出した物理的な現象が産み出す電気です。そして、だからこそ危ういのです。

「脳化社会」の不自然さをまったく顧みることができなかった20世紀をきちんと終えること。人工物の不自然さを感じ、いたずらな人間讃歌を止めること。

原子力を止めるための第一歩はここから始まります。

 

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