今は横浜情報文化センター施設になっている建物の低層階には、関東大震災の復興事業で建設された横浜商工奨励館(昭和4年竣工)のファサードが活かされています。僕は、こういうデザイン、どうも建物の歴史をミイラにして保存しているようで、あんまり好きではないのですが、とりあえずは空襲をほぼ無傷で免れた外観は継承され一部には内装も残されています。
日本大通に面して建物に沿うイチョウ並木の中に、たった一本だけ、いつまでたっても黄色にならない樹があります。長らく不気味な佇まいの空き家だった奨励館とあいまって、当時は「お化けイチョウ」と呼ばれ、この樹にまつわる噂話もあったのですが、それも今は昔の話し。今は、この樹だけが緑であることに気がつく人もまばらです。
気がつくと、時(とき)は、あっさりと流れているものです。