引用

日本を捨てた男たち

2011年発売。一時は平積みになっていましたが、最近は本屋さんでも見かけなくなった本ではあります。

でも、あいかわらず、考えさせられる本です。

f0006046_1951399表層として、描かれているのは副題にもあるとおり、現在のフィリピンに生きている「困窮邦人」(外国にあって困窮の状態にある人っていう意味なんだと思います)についてのことです。レポート集であり、丹念なインタビュー集でもあります。でも、全編を通して著者自身の疑問が、読者にもストレートにも問いかけられているような感じで「考えさせられる本」というのは、この部分を指しての、僕の率直な感想です。

フィリピン…

お金があろうがどん底の貧乏であろうが、フィリピンには笑顔が溢れているようです。世間の監視の眼みたいなものも緩く、ファンキー。責任を問われるようなプレッシャーもなければそういう意味で「ちゃんとしてなきゃ」という緊張感もない。

襟を正してないと、すぐに浮き上がり、村八分になりそうな日本社会とは大違いです。この本に登場する「困窮邦人」の人たちが、それでもなお、日本に帰りたくないと考えていらっしゃるのは、こうした日本社会への嫌悪感に拠るようです。

(「国民性」とはよくいったもので、その国の社会がどうあるかは、最終的に国民ひとり一人に染み付いてしまっているようです。だから、その人がフィリピン人であれば、仮にその人が、今は日本に暮らしていても、その人の価値観や生活行動は、やっぱりフィリピンのそれ。そこからかの国に惹かれていってしまう日本人も少なくないようです)

確かにファンキーだし、村社会的なパブリック・プレッシャーはないが、行政力はゼロに等しい。殺人犯でさえほとんど捕まらないし、警察官自身がグルだったりもする…つまり、闇社会の力は強いし、なんでも賄賂。賄賂払わなければ「お役所」は動かない(たぶん、お役所以外でも 人を巡って嫌な思いもするんでしょうね)…。とんでもない二極化で、公的な福祉なんて「無い」に等しい。だから、いつでも野垂れ死できる国…あなたなら、どっちを選びますかと、全編を通じてずっと問いかけられているような気がする「本」なのです。

しかしながら、ファンキーで、肩肘張らず、襟を正して生きていく必要もないが、犯罪もなく、行政力もあって 故に福祉も徹底している国っていうのはなさそうなので、現実的にはどっちかを選択するしかなそうです。

う~ん。

大阪、あるいは沖縄…あの辺りはどうなんでしょう。この国にしちゃー、ファンキーそうですが、犯罪の状況はどうなのか 福祉はどうなのか…それとも、これからの「わが国」あって、やっぱり「襟を正していなければいけない」方向に変化ししうなのか…

いろいろなことを考えさせられました。ちゃんと調べてみようとも思いました。「ためになる本」っていうのは、こういう本のことをいうのかもしれません。水谷竹秀さんの労作につくづく感謝しています。

「日本を捨てた男たち フィリピンに生きる『困窮邦人』」           

水谷竹秀著/集英社刊

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