あっちこっちと、日常的に街を歩いていると、何だか知らないけれど、歩いているだけで気分がマイナーになってくる街と、わけもなく気分がさわやかになってくるような街が確実にあることに気がつきました。
僕は生まれてこのかた、ずっと埋地に育って、住んできましたから、そうした街の雰囲気を空気のように思っています。それ故に、仮に、その場所が悪所然としているからといって、そういう風情や雰囲気に「悪印象」を持つことはありません。でも、繁華街に(特に歓楽街)には、独特の「ぬるさ」があって、夏などはまとわりつくような、うっとおしさがあります。
ただ、都市っていう場所は、どこに行っても「そんなもん」なんだろうと思っていたわけです。
ところが都市空間にも清明なところはあるし、そういうところを歩いているとだんだん楽観的になってくるわけです。最初はもちろん錯覚だ、気のせいだと思っているのですが、最近は、歩いていて、逆にマイナーな感じをつかんで、ここは沼地だったかなーと思って、調べてみるとやっぱり沼地だったりと、明確な「差がある」と確信するようになってきました。
郊外の住宅地だから清明かというとそうではなく、大規模な田んぼを埋め立ててつくったような造成地はダメです。川の流れが澱んでできたような河岸の中州を広げて造ったようなところもダメです。
同じ町内のすべてが清明という場所にも未だに遭遇したことがなく「都市空間にも清明な場所はある」とはいえ、かなり貴重な場所です。
気分がマイナーになってくる街は、ホントに「自分がマナーな気分に陥っている」ときには返って落ち着くもんです。
そのままドツボにはまって抜け出せなくなることも多いんですが、弱い人間にとって独特のぬくもりと優しさを提供しているのも事実です。
(だから、アンタッチャブルでも、いつまでも魅力的なんだと思います)
でも、清明な土地はそれ以上に貴重かな…
なんだか心が健康になってくる気がしますからね。